
「今日はこちらです」と注文を変えた私。3年通った客が来なくなって気づいたこと
コラム
3年通ってくださるお客さまは、帰るたびにカップと皿をカウンターの端まで運んでくれていました。私はいつからか、その気遣いに応えることと、自分が選んだものを出すことを同じにしていました。
常連なら喜んでくれると思っていました
席が6つだけの店を1人で切り盛りしています。自分の店では、その日に状態のよいものがあれば、お客さまへすすめることも接客の1つだと考えていました。
3年前から通ってくださる方がいます。いつも同じ席に座り、帰るときにはカップと皿をカウンターの端まで運んでくださる方です。
何度も来てくださるうちに、この方なら自分が選んだものも喜んでくださる。私はそう決めつけるようになっていました。
すすめることと、注文を勝手に変えることの境目を、自分に都合よく考えていたのです。
汗を見て、冷たいほうがいいと決めました
暑い日にお客さまが店へ入って来て、ハンカチで首筋の汗を押さえているのが見えました。
席に着いたお客さまは「ホットをお願いします」と注文しました。それなのに私は、冷たいほうが喜ばれると考えて、氷の入ったグラスを用意しました。
温かいものが欲しいと言われる。それは注文を聞いた時点ですでに分かっていたはずです。それでも、自分が選んだものを出すほうが気が利いていると思っていました。
2週間ほどあとには、紅茶の注文を受けながら、その日に入った豆でコーヒーを出しました。私はその豆で淹れたコーヒーを飲んでもらいたいと思っていました。
「紅茶を頼んだつもりだったんですが」
そう言われても、私は「今日はこちらです」としか答えませんでした。それ以上説明せず、カウンターを拭き始めました。
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伝票に書いた600円




























