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「料理できるって、嘘だった」ボヤ騒ぎまで隠した俺が合鍵を返すまで

コラム

消火のあと、俺は焦げた鍋を袋に入れて持ち帰り、同じ物を買って元どおりに置き直しました。それで済むと、あのときは本気で思っていました。

彼女の部屋の合鍵を差し込みながら、俺はエコバッグの中の食材をもう一度だけ確かめました。

3日間だけの計画

彼女が出張に出ている3日間で、料理を覚えるつもりでした。付き合う前、話の流れで得意だと言ってしまい、2年間ずっと訂正できずにいたからです。俺の部屋にコンロはなく、彼女の部屋なら道具も揃っています。預かっていた合鍵は、彼女の残業が続く時期に宅配や郵便物を受け取るためのものでした。別の目的で使うことへのためらいは、あのときの俺には薄かったと思います。そろそろやってくる彼女の誕生日に手料理を出せば、貫き続けた嘘も本当にできる気がしていました。

報知器が鳴った

油から火が上がったのは、動画の手順を2つ飛ばしたせいでした。コンロの火を止め、鍋にふたをかぶせて火を消し、窓を全部開けたところで、天井の報知器が鳴り出しました。廊下に出てきた住人に頭を下げ、駆けつけた管理会社の人には、コンロの消し忘れだと説明しました。嘘の上に嘘を重ねた瞬間でした。焦げた鍋は袋に入れて持ち帰り、同じメーカーの同じ色の鍋を買って、コンロの上に置き直しました。壁の煤は、何度拭いても薄く残りました。換気扇を止め忘れたことには、部屋を出るまで気づきませんでした。

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