
「この電車、香水きつくない?頭痛くなりそう」真夏の車内で、私が隣の車両へ移った理由
コラム
隣の車両で考えたこと
連結部を抜けると、そこには冷房と鉄のにおいしかありませんでした。深く吸い込んでから、私は少しだけ自分が嫌になりました。ハンカチで顔を覆い、黙って離れることしかしなかったからです。香りをまとう理由は人それぞれで、あの女性にも何か事情があるのかもしれません。それでも、真夏の閉じた車内では、良い香りも過ぎれば誰かの体調を削ります。乗務員に相談するほどのことでもなく、本人に伝える勇気もなく、伝え方を持たないまま、私は避けることを選んでいました。
そして...
週が明けて同じ電車に乗ると、あの重たい甘さはどこにもありませんでした。窓越しの日差しは変わらないのに、呼吸のしやすさがまるで違いました。学生のあの一言が、誰かに届いたのかもしれません。私は無香料の柔軟剤の詰め替えを買い足すついでに、外出用の薄手のマスクもかごに入れました。避けるだけで終わらせず、自分の身の守り方を増やしておく。それが今の私にできる、いちばん角の立たない答えです。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)

























