
汗のにおいを隠すため香りを重ねた私、電車で聞いた率直な一言
コラム
香りで隠していたもの
帰り道、駅のお手洗いの鏡の前で、自分の肩口に鼻を近づけて確かめました。甘さはもう、香りというより塊のようでした。真夏の車内であの甘さに囲まれた人のことを、私は一度も想像したことがありませんでした。私は汗のにおいを消したかったのではなく、においで人に嫌われる自分を認めたくなかっただけなのだと、そこでようやく気づきました。誰かに何か言われるのが怖くて、先回りして香りの壁を厚くして、その壁の外のことは見ないようにしていました。
そして...
次の休みに、私は香水を化粧ポーチから出して棚の奥にしまいました。代わりに選んだのは、無香料の制汗剤とせっけんの香りのハンドクリームだけです。物足りなさで落ち着かなかったのは最初の数日だけでした。休み明けの車内で、ハンカチで口元を覆う人の姿はもうありませんでした。冷房の風が通るたび、隠すもののない自分の肩口を、前より好きだと思えました。
(20代女性・販売職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)

























