
言えなかった「ごめんなさい」を抱えて出た披露宴で、待っていたのはあの子守唄でした
コラム
拍手の音が続く中で、私はおしぼりを目元から離せずにいました。
練習してきた言葉は、娘の顔を見るとまた引っ込みました。口をついて出たのは、あの日と同じからかい混じりの言い方で、返ってきたのは短い断りだけでした。
下手な子守唄
娘が小さかった頃、寝かしつけの子守唄はいつも私の役目でした。音程が外れていることは、歌っている本人が一番よく知っていました。学生の頃、合唱で口だけ動かすように言われてから、人前で歌うことを避けてきたからです。だから20年前、親戚の集まりの座敷で、7歳の娘があの歌を歌ってみせたとき、外れ方まで私にそっくりで、恥ずかしさが先に立ちました。「音痴は遺伝よ」。自分ごと笑い飛ばすつもりの一言は座敷の笑いに変わり、娘は笑い返したきり、二度と人前で歌わなくなりました。
言い出せないまま
成長した娘が、カラオケの誘いを断り続けているのは知っていました。原因が私にあることも、わかっていました。それでも謝れなかったのは、蒸し返した拍子に、あの日の傷の深さを確かめてしまうのが怖かったからです。式の打ち合わせに同席した日、今日こそ言おうと決めました。帰りのロビーで、口の中で「ごめんなさい」と何度も練習したのに、出てきたのは別の言葉でした。「あなた、まだ歌わないの」。結婚式でくらい、また歌えばいいのに、という意味のつもりでした。「歌わないから」。娘は前を向いたまま、歩く速さも変えませんでした。
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進行表になかった1曲

























