「あの家、昼間からカーテン閉めっぱなしで怪しい」に頷いた私が、輪の中で初めて言い返した日

コラム

回覧板の紙のあとに、もう一言が続きました

その週に回ってきた回覧板には、印刷された紙が1枚挟まれていました。庭に迷い込んだ首輪の猫を保護していること、飼い主を探していること、人に慣れていない保護猫を預かっているため、道路側の窓を開けず、カーテンも閉めていること。書き手は、向かいの家の人でした。

回覧板が一周したあとの次のゴミ出しで、その紙の話になりました。角の家の女性が、声を落としました。

「うちの子、あの人が預かってくれてたの」

紙が角の家まで回った日に、猫はすでに引き取られていたそうです。誰も続きを引き取らないまま、袋を持つ手だけが動きました。そこで、角の家の女性がぽつりと言いました。

「でも、最初から言ってくれれば疑わなかったのにね」

前の私なら、黙っていたと思います。

「それは違うと思います」

自分でも驚くくらい、声はすぐに出ました。

「知らなかったことと、勝手に疑ったことは別ですよ」

輪の誰とも目が合わないまま、その日の立ち話は終わりました。

そして...

その足で、私はいちばん行きづらい家の呼び鈴を押しました。出てきた女性に、自分が言った言葉だけでなく、猫の話を聞いても否定しなかったことまで伝えて、頭を下げました。

「外の人影や車が見えると、まだ人に慣れていない子が怯えるんです」

奥の部屋のドアは閉まったままでした。

「猫のことは説明します。でも、普段から近所と付き合うつもりはありません」

その言葉を聞いて、私の口から出たのは、謝りに来たはずなのにこんな本音でした。

「誤解されたくないなら、もう少し話してくれてもよかったんじゃないですか」

「話さないことと、勝手に怪しい人にされることは別ですよね」

私は最後まで頷けたわけではありません。ただ、さっき私が角の家の女性に言ったことを、今度は自分が言われていました。

それ以来、立ち話で誰かの家の話が出ると、本人に聞いたのかを先に確かめるようになりました。向かいの家との距離は、今も挨拶のままです。

(30代女性・パート勤務)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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