10年前に「あなたに接客は向いてない」と言われ店を辞めた私→研修の最後列に元店長がいました

コラム

折られた質問用紙に、名字がありました

研修の最後に質問用紙を配りました。名前を書く欄は任意です。

控室で回収した束を確認すると、4つに折られた紙が1枚ありました。

開くと、名前の欄には元店長の名字が書かれていました。

質問は、

「仕事が遅い人に、向いていないと伝えることについてどう考えますか」

という内容でした。

私はその紙を持って廊下へ出ました。

まだ帰っていなかった元店長を呼び止めます。

「あの日、本当に私が接客に向いてないと思ってたんですか」

相手はすぐには答えませんでした。

やがて、

「思っていました」

と言いました。

言い訳はありませんでした。

私はもう1つ聞きました。

「今もですか」

元店長は私を見て、

「今は、私が間違っていたと思っています」

と答えました。

それでも、「ごめんなさい」とは言いませんでした。

私も、許すとは言いませんでした。

そして...

その答えを聞いても、10年前の自分が報われたとは思いませんでした。

あの言葉を信じて接客そのものを辞めていた可能性もあります。たまたま私は、別の売り場でもう一度やってみただけです。

次の研修から、資料に項目を1つ増やしました。

「向いていない」と人そのものを評価するのではなく、何ができていないのか、どう変えればいいのかを具体的に伝える。

私が遅かったのは事実です。

列を作ったのも事実です。

でも、それと「接客に向いていない」は同じではありませんでした。

10年前に欲しかったのは、励ましでも優しい言葉でもなく、その区別だったのだと思っています。

(30代女性・接客研修講師)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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