
「今日はこいつと寝るわ」実家に帰った彼から届いたメッセージ→問い詰める前に届いた写真
コラム
布団の真ん中にいたのは
写真が1枚送られてきました。布団の真ん中で、大きな灰色の猫が丸くなっています。枕の半分まで占領して、顔だけこちらを向いていました。続けて、「実家帰ると毎回こいつに布団取られる」と届きました。私は打ちかけていた文章を、後ろから順番に消しました。全部消してから、「猫なんだ」と送りました。返ってきたのは、「あれ、言ってなかったっけ」でした。聞いていません。2年間、一度も。さらに写真が届きました。今度は彼の腕に前足を乗せたまま寝ている猫です。どうやら最初の「こいつと寝る」の相手は、彼が子どものころから実家で飼っている猫でした。安心したはずなのに、私はしばらく最初のメッセージと写真を交互に見ていました。猫を知らない私がどう読むかまで、彼はまったく考えていなかったようです。
週明け、彼が私の部屋へ寄ったとき、私は飲み物を出しながらあの日のことを話しました。「私、『こいつって誰?』って送るところだった」彼は最初、意味が分からないような顔をしました。そこで、彼が送ったメッセージを見せます。「風呂出た。今日は疲れたからこいつと寝るわ」彼は数秒画面を見て、「これ、猫知らなかったらまずいな」と言いました。「知らないから」「本当に話したことなかった?」「1回もない」彼はそこでようやく謝りました。実家の猫はかなり高齢で、最近は以前ほど動かなくなっていたそうです。その日は久しぶりに自分から彼の部屋まで来て、昔と同じように布団へ乗ったので、うれしくなって何も考えず送ってしまったのだと言います。私は「だったら最初から写真も送ってよ」と返しました。少ししてから、「次に帰ったとき、動画も見せて」と頼みました。彼は「起きてたら撮ってくる」と答えました。
そして...
次に彼が実家へ帰った日の夕方、短い動画が送られてきました。窓際で寝ていた灰色の猫が顔を上げ、彼の声に反応してゆっくり立ち上がるところまで映っています。そのあと数歩だけ歩くと、また座布団の上に座りました。続けて彼から、「今日はここまでらしい」と届きました。私は、「あの日の『こいつ』、思ったよりのんびりしてるね」と返しました。すると今度は、彼が子どものころに撮ったという古い写真が何枚も送られてきました。小さかったころの猫が、彼の布団や机の上で寝ています。あの日までは存在すら知らなかったのに、今では写真が届くと、今日はどこで寝ているのだろうと思うようになりました。ただ、最初のメッセージだけは今でも忘れていません。次に彼が「こいつ」とだけ送ってきたら、今度は写真を待たずに聞くつもりです。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)






























