
「私、太った?」に「知らない」と返し続けた俺→ある日、洗面所から体重計が消えました
コラム
彼女から同じことを聞かれるたびに、俺は「知らない」と答えていました。そう答えるのには、自分なりの理由がありました。でも、それを一度も説明しないまま、彼女は俺に聞くことをやめました。
いつも床に置いてあった四角い体重計が、その日は見当たりませんでした。
「知らない」と答えていた理由
彼女と一緒に暮らし始めて2年になります。ある日、彼女が鏡の前でスカートのホックを直しながら聞きました。「私、太った?」。俺は、「知らない」と答えました。彼女が何を聞きたかったのかは分かっていました。それでも俺は、太ったとも、変わっていないとも言いたくありませんでした。でも、その理由までは話しませんでした。俺の中では「答えない」と決めているだけでも、相手には伝わると思っていたのかもしれません。別の日、彼女はもう一度聞きました。「ちゃんと見て答えてよ。私、前より太った?」。今度は目を見ました。それでも、「知らない」と答えました。彼女から、「見てるのに?」と言われても、「うん。知らない」としか返しませんでした。今考えると、あれでは「興味がない」と受け取られても仕方がありません。
体型の話が多かった実家
俺がそう答えるようになった理由は、実家にあります。母は昔から自分の体重を気にしていました。食卓でも、「今日は食べすぎた」「明日は少し減らそう」と話すことがよくありました。食事のあとに体重計へ乗り、数字を見てため息をつくこともあります。俺は、それが苦手でした。せっかく家族で食べているのに、最後にはいつも体重や食べた量の話になる。おいしかったかどうかより、「食べすぎたか」「太ったか」のほうが大事になっているように見えました。だから彼女と暮らし始めたとき、同じことはしたくないと思っていました。彼女が何を食べても、体型が変わっても、俺が横から数字をつけるようなことはしたくない。その気持ちだけはありました。でも、彼女には何も説明していません。自分の中で勝手に決めたことを、「知らない」だけで押し通していました。
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洗面所から消えた体重計



























