
娘に「今年も頼む」と送らなかった俺が、孫とのチャットで選んだ妻への贈り物
コラム
宛先を間違えた1通
孫に最後の意見を聞くつもりで、トーク画面を開きました。送ってから見直すと、そこにあったのは娘の名前です。
「ストール、紺と黒どっちがいいと思う?」
慌てて「すまん、間違えた。今のは忘れてくれ」と送りました。
すぐに娘から「何の話?」と届きました。事情を説明しようと、長い文を打っては消しました。「今年も頼む」を送らなかった理由を、どう書けばいいのか分からない。既読だけをつけたまま、時間が過ぎていきました。
しばらくして、孫から「ママにばれた。100件くらいって言っちゃった。ごめん」と届きました。
そして...
次に届いたのは、娘からの1行でした。
「紺がいいと思うよ」
俺は「ありがとう。母さんには内緒な」と返し、孫に教わったクマのスタンプを添えました。練習以外で押したのは、それが初めてでした。
紺のストールは、妻の誕生日に届くよう手配しました。
娘には、高校生のころからの「今年も頼む」への礼を、まだ伝えていませんでした。トーク画面の一番下では、あのクマが礼の代わりに、娘へお辞儀をしたままです。
(50代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)






























