「化粧濃すぎ」の一言しか送れなかった俺。彼女から届いた素顔の写真に写っていたもの

コラム

SNSに上がった飲み会の写真を、指で広げて見ていました。同僚に囲まれて笑う彼女の、明るく塗られた目元。笑顔はいつもどおりなのに、そこだけが写真の中で少し浮いて見えました。

まっすぐ聞いて、終わった会話

付き合って2年になる彼女とは、住んでいる街が離れています。顔を合わせるのは月に2回ほど。それ以外の時間は、メッセージだけが頼りでした。

彼女の部署が変わってから、仕事終わりの連絡が届くのは少しずつ遅くなっていきました。送られてくる写真のメイクも、以前よりしっかりしたものに変わっていきます。

1度だけ、思い切って「最近疲れてない?」と送ったことがあります。返ってきたのは「全然!元気だよ」。そう言われてしまうと、それ以上は聞けませんでした。しつこく聞いて、うっとうしいと思われるのが怖かったんです。

冗談なら聞ける気がしていた

そこから選んだのは、冗談めかすことでした。リップの写真には「濃くない?」、SNSの写真には「化粧濃すぎ」。そう送れば、「疲れてるの隠してるんだよ」と笑って返してくれるかもしれない。そんな都合のいい期待をしていました。

実際に届くのは既読だけ。それでも、ほかの言い方を探そうとはしませんでした。まっすぐ聞いてまた「元気だよ」と返されるより、冗談のまま流される方が楽だったからです。言われる側がどう感じるかを、ちゃんと考えていませんでした。

飲み会の写真に「化粧濃すぎ」と送ったのも、いつもと同じ軽い気持ちでした。

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