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    見知らぬ母親に「邪魔」と吐き捨てた半年前のあの日、私が本当に抱えていたもの

    ライフスタイル

    半年通い続けた席

    父はそれから2カ月後に亡くなりました。葬儀を終えてからも、あの日の母親の顔が、頭から離れませんでした。怯えたように何度も繰り返していた、あの「すみません」。私が悪意もなく傷つけてしまった、見知らぬ誰か。

    それからというもの、平日の午後になると、あのカフェに足を運ぶようになっていました。本当に来てくれるかなんてわからない。会えたとしても、何を言えば許されるのかもわからない。それでも私は、窓際の席で、同じ時間にコーヒーを頼み続けたのです。

    そして...

    半年経った、その日のことでした。扉の鈴が鳴って、よちよち歩きの男の子の手を引いた、あの母親が入ってきたのです。立ち上がるべきか、声をかけるべきか、目をそらすべきか決められませんでした。少し時間がたってから彼女のほうが私を見ました。

    ほんの数秒、目が合いました。私はただ、頭を下げました。声が、出なかったのです。「あの日、本当にすみませんでした」。喉まで来ていた言葉が、どうしても出ていきませんでした。私は会計を済ませて、店を出ました。

    許してもらうために通っていたのか、罰のように通っていたのか、自分でもわかりません。あの目礼が彼女に届いたかどうかも、わかりません。それでも、あの席に毎週座り続けた半年が、何の意味もなかったわけではないと、そう思いたかったのです。

    (30代女性・会社員)

    本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

    (ハウコレ編集部)

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