
財布の拾い主から「お礼はいりません」→代わりに月に一度、ある報告を頼まれました
ライフスタイル
買い替えを迷った月
3年目に入ったころ、財布の角がすり切れて、中の芯が見えるようになりました。買い替えるつもりで店へ寄った帰り、その月の1行を打つ手前で、私は初めて決まりの文を崩しました。
「角がすり切れてきました。買い替えようか迷っています」
返事は、いつもの礼ではありませんでした。
「その角は直せます。捨てる前に、一度見せてください」
財布の処分にまで口を出されるのかと、そのときは思いました。直せるかどうかを、会ったこともない人がどうして言い切れるのか。私は返事を書かずに、財布を鞄の内側へ戻しました。
そして...
店で見た新しい財布は、まだ買っていません。角のすり切れは広がっていて、私は月の初めに、同じ1行を送り続けています。見せに行く約束はしていません。ただ、捨てる前に見せてくださいと言われた財布を、捨てられずにいるだけです。「ありがとうございます」は、今月も向きが逆のまま届きました。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)




























