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「甘えるな」と妻に言った俺→妻が出て行った日、冷蔵庫を開けて気づいたこと

コラム

仕事で疲れているのに泣かれるのが、正直つらかったのです。「甘えるな」と言ったのは、妻を突き放したかったからではなく、自分が限界だったから。でもそれは、何の言い訳にもなりませんでした。

余裕がなかった

娘が生まれてから、職場では後輩の指導を任され、家では夜泣きの声が壁越しに聞こえてくる毎日でした。自分だって寝不足で、通勤電車で立ったまま寝落ちすることもありました。

でも「仕事があるから」と別室で寝ることを選んだのは自分です。週末にソファで過ごしたのも、本当は休みたかったから。「手伝おうか」の一言が出なかったのは、そう言ってしまったら自分の余裕のなさを認めることになる気がして、怖かったのだと思います。

母を盾にした夜

あの夜、泣いている妻を前にして、最初に込み上げてきたのは苛立ちではなく、どうしていいかわからない焦りでした。支えたい気持ちはあるのに、何をすればいいのか分からない。それでも「分からない」と素直に言うことができなかったのです。

「なんで泣いてんの。母親だろ、しっかりしろよ」

妻が声にならない声で「もう限界なの、少しだけ手伝って」と言いました。その一言を受け止める余裕すらなかった。代わりに口をついて出たのは「甘えるな。うちの母親はひとりで3人育てたぞ」という言葉でした。

母がひとりで俺たちを育てたのだと、ずっと本気で思い込んでいました。幼い頃の記憶の中では、いつも母だけが台所に立っていたからです。けれどそれは、ただ自分の見えている世界があまりにも狭かっただけでした。

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