
「あんたの学歴じゃ無理」と提案を拒否→気が付いたら取引先の社長に
コラム
止まったままの10年
その後、彼女は会社を辞めました。「やっぱりね、短大卒じゃ続かない」と陰で言ったのを覚えています。それから10年。私は課長のまま、同じ部署で同じ仕事を続けていました。後輩たちがどんどん昇進していく中で、私の肩書きだけが変わらないままでした。
会社の中で、「学歴」はもう誰も話題にしなくなっていました。評価されるのは成果を出す人間、行動する人間。私がしがみついていた「一流大学卒」という看板は、とうに色あせていたのです。
でも、それを認めるのが怖かった。認めてしまったら、私には何も残らないから。
そして…
ある日、会社から重要な取引先との商談を任されました。急成長している輸入商社の代表と直接会えるチャンスだと聞き、気合を入れて会議室に向かいました。
ドアが開いて、相手の代表が入ってきた瞬間、息が止まりました。
10年前、私が企画書も読まずに追い返したあの彼女だったのです。そして、「代表取締役」の名刺を差し出していたのです。
「お久しぶりです。本日はよろしくお願いいたします」
落ち着いた声、堂々とした佇まい。あの頃の悔しそうな顔はどこにもなく、すべてを乗り越えた人間だけが持つ自信をまとっていました。
商談の最後、彼女はこう言いました。
「10年前、企画書を読んでいただけなかったこと、覚えていらっしゃいますか。あのとき読んでいただけていたら、御社にとっても良い結果になっていたかもしれませんね」
責めるような口調ではありませんでした。ただ事実を述べただけ。それが余計に、胸に突き刺さりました。私は何も言えず、ただ頭を下げることしかできませんでした。
(50代男性・営業)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)




























