
どっちも本気で、どっちも選べなかった→俺のスマホが、駅で待つ人に全部を伝えた
コラム
久しぶりの休みに、テーブルに置いたスマホの通知が一度だけ光りました。隣には、同棲して三年になる相手がいます。俺は画面を伏せたまま、たいした用事じゃないと自分に言い聞かせました。その一通が、隠し続けてきたすべてを動かし始めるとは、思ってもいなかったのです。
鳴った通知を、伏せたままにした
画面に表示されていたのは「もう駅着いたよ」という、待ち合わせ場所からのメッセージでした。本当は、その人と会う約束をしていたのです。けれど目の前には同棲相手がいて、俺は返信を打てないまま、既読だけをつけてしまいました。
返信すれば隣の相手にあやしまれる。かといって出かける口実も、とっさには思いつきません。たいしたことないふりをしてスマホを伏せながら、俺は二人に嘘をつき続けてきた自分のことを考えていました。
戻ったとき、スマホは相手の手の中にあった
返せないまま画面を伏せて三十分ほど経ったころ、飲み物を取りに立ちました。ほんの数分のことでした。戻ると、同棲相手が俺のスマホを持って、画面を見つめていました。そこには、相手が待ち合わせの人へ送ったばかりの文面が残っていました。「突然ごめんなさい。これを打っているのは、あなたが待っている人ではありません」。そして、「私、その人の同棲相手です」。
同棲相手は俺を見て、「どっちが本気だったの」とだけ言いました。俺はその問いに答えられないまま、奪われたスマホの画面を見ていました。
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どちらも欲しくて、どちらにも向き合わなかった
























