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運動会のリレーで抜かされた息子の「お母さん、ごめんね」に、私は何も返せなかった

コラム

毎朝の校庭

翌日から、息子は朝6時に起きるようになりました。「ちょっと走ってくる」とだけ言い、校庭に向かう。速くなりたいとも、悔しいとも言わない。ただ黙って靴紐を結んで出ていく背中に、毎朝「いってらっしゃい」と声をかけるのが精いっぱいでした。

運動会当日。最終走者の息子がバトンを受け取り、腕を振り、歯を食いしばって走りました。けれど最後に抜かされ、結果は3位。ゴールした息子は泣きそうな顔で、それでも笑おうとしていました。同じチームの子が駆け寄って、背中をぽんと叩いてくれました。そのとき初めて、涙がこぼれました。

そして...

帰り道、息子が小さな声で言いました。「お母さん、ごめんね」

「何が?」と聞くと、「練習したけど、速くなれなかった」と唇を震わせたのです。何も返せませんでした。

夜、布団に入った息子がぽつりとつぶやきました。「今日、チームの子に話したんだ。その子のお母さんが先生に言ったこと、聞こえてたって。でも、走りたかったからいいんだって」息が止まりました。誰のことも責めない、その小さな声に。

あの朝の校庭をひとりで走り続けていた息子に、私はもっと早く「走りたいなら走ればいい。お母さんが見てるから」と言えばよかった。不安ばかり飲み込んで、ただ見送ることしかできなかった自分を、今はとても悔やんでいます。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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