
席がなかったあの日から、「1人のほうが気楽」と笑うことに決めた
コラム
歓迎会の夜
4月の歓迎会で、新しく入った後輩に「先輩って、いつもお昼一人ですよね」と聞かれました。「今度よかったら一緒にどうですか」。真っすぐな目で誘われて、胸の奥がきゅっとなりました。「一人のほうが気楽なんですよ」。いつもの返事を返すと、後輩は「最初からそうだったんですか?」と重ねて聞いてきたのです。持っていたグラスを、ぎゅっと握りしめました。口をついて出たのは、「最初の頃はみんなと行ってたんですけど、いつの間にか一人になってて」という、笑えなかった本音でした。
そして...
テーブルの空気が変わったのがわかりました。先輩たちの表情を見て、しまった、と思いました。重くしたかったわけではありません。ただ、あの後輩の素直さに、嘘がつけなかっただけでした。
「いつも一人でご飯」。そう笑い続けた一年間、自分から声をかけることもしなかった私にも意地がありました。ひと言「一緒に食べたい」と言えばよかったのかもしれません。翌日のお昼、先輩が一人で社員食堂にいるのが見えました。いつもはグループで食べている人です。目が合ったとき、「ここ、空いてるよ」と小さく笑ってくれました。椅子に座った瞬間、喉の奥が詰まりました。本当はこの一言を、ずっと待っていたのだと気づきました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)




























