
「実は私も悩んでて」と打ち明けるつもりだった私が、友人のカメラロールで自分の嘘に気付いた話
コラム
大学時代の友人のキラキラしたSNSが羨ましくて、軽い気持ちで質問を投げた私。差し出されたスマホの画面に並んでいたのは、私が一度も投稿したことのない種類の写真でした。私は結婚2年目の30歳で、夫と新居で暮らしています。SNSには新生活のいい瞬間を選んで投稿していて、まわりからは「順風満帆だね」と言われる毎日でした。けれど久しぶりに会った大学時代の友人に投げかけた何気ない質問が、自分の差し出してきたものの正体を見せつけることになったのです。
打ち明けるつもりで投げた話題
平日の夜、駅前のチェーンカフェで大学時代の友人と向かい合っていました。会うのは半年ぶり。本当はこの日、私のほうから話したいことがあったのです。最近、夫との関係がぎくしゃくしていて、新居の住宅ローンも思っていたより重く、SNSに載せている景色とはまるで違う毎日を抱えていました。ひとりで抱えるのが限界で、友人に打ち明けたかった。でも、すぐに切り出す勇気はありません。私はコーヒーが半分くらいになったタイミングで、呼び水のつもりで切り出しました。「SNSでキラキラしてるけど実際どうなの?」。友人が「実は私も悩んでて」と言ってくれたら、私も話せると思っていたのです。
差し出された画面に並んでいたもの
ところが友人は、少し戸惑った顔をしたあと、こう言いました。「見せようか」。差し出されたスマホの画面には、私が一度もSNSで見たことのない景色が並んでいました。作り置きのお弁当のおかず、洗濯物が山積みになったソファ、終電前のオフィス、ピントの甘い猫、コンビニのパン。「SNSは月に2、3枚のいい瞬間の集まり。あとの300枚はこれ」笑いながらそう言う友人を、私はうまく見ることができませんでした。私のスマホのカメラロールには、こんな写真は1枚もありません。撮ったとしても、すぐに消してしまいます。SNSに載らない毎日まで、私はずっと「載るに値する」形に整えてきたのです。
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「画面の裏側」を持っていたのは私のほうだった

























