
彼女の化粧品を洗面台の奥に移した僕が、その日言えずにいた本当の理由
コラム
言いそびれた、本当の理由
ところが、計画を打ち明ける前に、彼女のほうから聞かれてしまいました。「私の化粧品、なんで全部奥にしまったの?」少し責めるような響きに、僕は焦ってしまいました。一緒に暮らそうという話は、もっとちゃんとした場面で伝えたい。そう思うほど、口から出たのは「奥のほうが水もかからないし、ものも落ちないから」という、当たり障りのない言葉だけでした。「なら、ひとこと言ってくれてもよかったのに」と彼女。「ごめん。よかれと思って、勝手にやっちゃって」と返すのが、その時の僕には精いっぱいでした。
そして...
彼女は最後には笑って、片付ける前にひとこと教えてねと言ってくれました。その優しさに甘えて、僕はまた肝心なことを先延ばしにしてしまったのです。けれど、奥の棚に並んだ彼女の化粧品を見るたび、思います。あの場所は、ただの収納ではありません。これから先も彼女にいてほしいという、僕なりの願いを込めた場所なのです。次に彼女が来たら、今度こそ不器用なりに言葉にしようと決めました。一緒に暮らそう。その一言を、奥の棚を見せながら、まっすぐに伝えるつもりです。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)

























