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彼女のコートを別室へ運んだ僕。クローゼットを開けられなかった理由

コラム

「そのほうがいいと思って」では届かなかった

リビングで過ごしていると、彼女がためらいがちに「私のだけ、別の部屋なんだね」と言いました。きちんと話すなら、ここしかありませんでした。それなのに僕の口から出たのは、「そのほうがいいと思って」というそっけない一言だけ。あのクローゼットの中身を打ち明ける勇気が、どうしても持てなかったのです。

彼女の表情がふっと曇っていくのが、向かいの席からはっきり見えました。守っているつもりの自分の振る舞いが、彼女には突き放されたように映っているのだと、そのとき初めて気づきました。

そして...

彼女が帰ったあと、僕はずっと閉めたままだったクローゼットの扉を開けました。中に残っていたコートを畳んで、片付ける箱にしまいます。本当は、もっと早くにやっておくべきことでした。過去を残したままだったのは、彼女のためではなく、面倒なことから目をそらしていた僕自身のためです。

次に会ったら、別の部屋に運んだ理由を、格好をつけずに全部話そうと思います。情けない事情だとしても、隠したままにしておくより、ずっといい。僕にとって彼女が、隣に並べたい大切な人だと伝えるために。

(20代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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