
彼女が写る写真だけ小さく印刷した僕。"まだ途中"だと、ひと言いえばよかった
コラム
コンビニのコピー機の前で、僕は写真を一枚ずつ選んでいました。まずは安い小さなサイズで一通り刷って、出来上がりを確かめてから本番を印刷するつもりだったのです。我ながら凝り性だな、と思いながら、印刷ボタンを押していました。
小さく印刷したのは、ただの下見だった
旅行の写真は、きちんとアルバムにまとめたいと思っていました。けれど色味や明るさは、画面で見るのと印刷とでは案外ちがうものです。だからまずは小さいサイズで全部刷って、仕上がりを見てから大きく印刷し直すことにしたのです。
風景はもう本番のサイズに刷り直したあとでした。彼女が写った写真だけが小さいまま残っていたのは、どの一枚を大きくするか、僕がいちばん迷っていたからです。せっかくなら、彼女がいちばん良く写っているものを選びたくて。
「それは、そのままにしておいて」と言った理由
仕分けの途中で少し席を外し、戻ってみると、彼女が束の中の一枚を手にしていました。
「これ、私が写ってるやつだけ小さいね」
そう言った彼女の声には、かすかに戸惑いがにじんでいました。けれど僕は、刷り直す前の見本を捨てられたり、選びかけの順番を崩されたりしたくなくて、とっさに「それは、そのままにしておいて」と返してしまったのです。
まだ途中だから、とひと言そえればよかった。それだけのことなのに、説明を省いて別の部屋へ行ってしまいました。
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ひと言、足りなかっただけで


























