
なぜ私は、預かった同僚の恋も、彼の昇進も、軽く扱ってしまったのか
コラム
問い詰められて、私は開き直ってしまいました
昼休みに呼び止められたとき、私は手元の書類に目を落としたままでした。彼女は声を抑えて、「あなたにしか話してないのに、なんでみんな知ってるの」と、それだけを尋ねました。
けれど私の口から出たのは、謝罪ではありませんでした。「隠してたつもり?正直、みんな薄々気づいてたよ」。自分のしたことを認めるのが怖くて、相手の心配のせいにしてしまったのです。彼女はそれ以上は問わず、その場を離れていきました。遠ざかる足音を聞きながらも、私は書類から目を上げられませんでした。本当は、ごめんのひとことで済む話でした。それが言えなかったのは、聞き出しておきながら守れなかった自分から、目をそらしたかったからだと思います。
そして...
あの一件のあと、私は彼女に短く謝りました。返事はそっけないもので、それで終わりでした。許してもらえると思っていたこと自体が、甘えだったのだと思います。私が秘密を漏らしたことは、いつのまにか職場中に知れわたっていました。今度は、当人のいないところで噂されるのは私のほうでした。「あの人には話さないほうがいい」。はっきり言われなくても、向けられる視線でわかります。何かを打ち明けてくれる人も、軽い相談を持ちかけてくれる人も、気づけば一人もいなくなっていました。
打ち明けてもらえた近さに甘えて、その重さを軽く扱った私に、同じ軽さが返ってきただけのことです。机の上の書類は、あの日から、ずっと私の前に積まれたままになっています。
(20代女性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)



























