
旅行中ずっとガイドブックを見ていた彼に、私は文句を言ってしまった
コラム
食堂で出されたメモ
食堂に入って向かい合って座っても、彼は料理が来るまでガイドブックを開いていました。私はそこで、とうとう言ってしまいました。「旅行中ずっとそれ見てるね」
彼はガイドブックを閉じ、間に挟んでいた紙をテーブルに置きました。「ここに来たかった理由がある」と言って見せてくれたのは、手書きのメモでした。
そこには地名や施設の名前が並んでいました。彼の祖父が亡くなる前に書き残した、行ってみたかった場所のリストだと彼は話しました。代わりに自分が回りたくて、この旅先を選んだのだそうです。
そして...
理由を聞いて、彼がただ予定を詰め込みたかったわけではないと分かりました。でも、展望台で1人になったことも、街で置いていかれたことも、すぐには消えませんでした。
「そういうことなら、最初に言ってほしかった。そしたら私も同じ気持ちで歩けたのに」と伝えると、彼は「ごめん、うまく話せなかった」と言いました。
そのあと、2人でメモに残っている場所を地図で確認しました。隣で同じページを見るのは、その日初めてでした。大事な場所を回りたいなら、先に分けてくれればよかったのです。旅は、1人で背負うより、2人で歩いたほうがきっと覚えていられるのだと思いました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)



























