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マットを詰めた受講生が、転倒後に消えた理由

コラム

私が窓際にマットを敷くと、隣のベテランの深緑のマットが、私のマットの端に音もなく重なっていました。バランスを崩した私にぶつかった彼女は、大げさに床へ倒れ込みました。『危ないじゃない!』と響いた声を、最後まで信じていたのは彼女だけでした。

半年前から私の定位置になった窓際

週末のヨガ教室に通い始めて半年、鏡の右端に近い窓際が私の定位置になっていました。それなのに、いつもは反対側にマットを敷くベテランの女性が、いきなり私の隣に来たのです。ポーズが始まると、彼女のマットは少しずつこちらへ寄せられていきます。動きの合間に見ると、私のマットの右端は数センチ、窓の下に押し出されていました。はじめはただの気のせいだと思うことにしました。

勇気を出した一言と、聞こえないふり

翌週も同じ場所で、同じことが起きました。今度はマットの半分近くが押し出されるほどでした。レッスンの後、私は勇気を出して聞いてみることにしました。「マットが少し重なっていた気がして」。彼女は鏡越しに私を見て、口の端だけを上げ、「あら、そう?」。それだけで、彼女は着替え室へ入っていきました。他の受講生と目が合いましたが、みな視線を落として通り過ぎていきました。

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