
3時間守った花火の場所を奪われた私。子どもの一言
コラム
相手の子どもが口にした、一言の食い違い
「誰もいなかったから」「空いていたと思ったんです」。相手の女性は目を合わせずに繰り返します。私はもう一歩踏み出しました。「荷物も置いてありましたよね。勝手に動かさないでください」。「気づかなかった」。相手はそう続けました。
そのときです。ご夫婦の間にいた男の子が、母親を見上げて口を開きました。「さっきバッグをどかしてたよね」。相手の顔から、言い訳の続きが消えたのが分かりました。周りにいた別のグループまで、こちらに視線を向けます。私は近くを歩いていた係員のジャケットに向かって手を挙げました。
事情を伝えると、係員は会場のルールに違反はないと確認し、相手にレジャーシートを畳んで移動するよう伝えました。相手は口をきつく結んだまま、私のシートを広げ直し、荷物を私の側へ戻しました。「勝手に触ってすみませんでした」。その一言だけを、聞き取れる声で残して、彼らは人混みの奥へ入っていきました。
そして...
「お待たせしてすみません」。合流した友人にそう伝えられたとき、シートの半分は元の位置に戻っていました。花火が始まると、周囲の歓声と屋台の匂いに包まれて、腹が立っていた気持ちも薄れていきました。取っておいた場所は、私が3時間かけて用意したものです。譲らずに口にした自分を、少し好きになりました。次に行くときは、隣の人へ「少しだけ荷物を置いていきます」とちゃんと一声かけておこうと決めました。頭上で花火が咲いた瞬間、私は前を向いていました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)

























