
「旅費はそっち持ち?」兄が渡した明細で知った甘え
コラム
兄が渡した1枚
集合場所の改札前で、私は義姉と目を合わせられませんでした。兄は取り出した紙を開いて、黙って私に渡しました。宿の料金が、私の名前と一緒に印字されていました。
「自分の分は、自分で払ってくれ」
兄の声は、いつもと同じ高さでした。私は紙の数字を確かめてから、鞄の底の財布を探しました。その間、義姉は何も言わずに待っていてくれました。
そして...
旅行の間、私は初めて自分の財布で会計をしました。金額を気にして選んだ食事の味を、今もよく覚えています。帰りのホームで「お姉さん、ごめんなさい」と頭を下げた私に、義姉はうなずいてくれました。あの明細は、今も手帳に挟んであります。甘えの値段を、忘れないためです。
(20代女性・販売職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)


























