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「そんな仕事で食べていけるのか」祖父は一度も私の進路を認めてくれなかった

コラム

玄関先で祖父が口にしたのは、労いとも皮肉ともつかない一言でした。認めてほしいと言えないまま、私は頭を下げて門を出ます。内定の報告を終えた食卓に、祖父が箸を置く音だけが残りました。

進路の話になると、会話が終わる

高校で美術系の専門学校に進みたいと伝えたときから、祖父の反応はいつも同じでした。「そんな仕事で食べていけるのか」母がとりなしても、祖父は湯のみを持ったまま庭のほうを向いてしまいます。進学してからも、帰省のたびに課題の話をしかけては、途中でやめました。祖父がテレビの音量を上げるからです。卒業制作の招待状も、結局は仏間の棚に置いたまま帰りました。祖父に作品を見せたことは、一度もありません。見せる前に、話が終わってしまうのです。

祝いの席と、閉まる襖

菓子メーカーのデザイン部門に決まった日、実家に集まった食卓で私は報告しました。「デザインの仕事に内定をもらったの」母は手を叩いて喜び、父は「そうか、よく頑張ったな!」と言ってビールで真っ赤になった顔で笑っていました。祖父だけが箸を置き、何も言わずに自分の部屋へ戻っていきました。廊下の奥で襖の閉まる音がして、母が取り皿を替えながら、気にしなくていいと笑いました。私は残りのごはんを、味のわからないまま口に運びました。祝いの席で欠けていたのは、祖父の言葉1つだけでした。

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