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「プールはちょっと苦手なんだ」と断る彼、リュックから市民プールの利用券が出てきた

コラム

ガラス越しに見えた練習

観覧席に上がると、ガラスの向こうに彼がいました。彼のそばには、初心者向け教室のコーチがいました。彼はビート板につかまり、腕の動きを教わりながら、壁へ向かって練習を続けていました。25メートルを泳ぎ切る前に足をつき、元の位置へ戻ってやり直しています。誰かに会うためではなく、泳ぐ練習をしに来ていたのです。私は声をかけず、先に家へ帰りました。帰り道でも、ビート板をつかんで壁へ向かう彼と、観覧席まで後を追った自分を考えていました。

そして...

帰宅した彼に、私は玄関で「市民プールにいたよね」と伝えました。彼は少し黙ったあと、「泳げないところを見られたくなかった」と答えました。海へ行くまでに練習して、私には何も言わずに済ませるつもりだったそうです。理由を聞いたあと、私は直接聞かずに後を追ったことを謝りました。利用券を見つけて不安になったとしても、あの確かめ方を選んでよかったとは思えませんでした。

次の週末、2人で同じプールへ行きました。彼は25メートルの途中でまた足をつき、私は隣のコースからその姿を見ていました。リュックの外側のポケットを見ると、あの日落ちた利用券と、事情を聞く前に市民プールまで追いかけた自分を思い出します。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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