
「プールは苦手」と断った俺が、彼女に隠れて市民プールへ通った理由
コラム
彼女にプールへ誘われるたび、俺は「苦手だから」と断っていました。本当は水が嫌なのではなく、泳げない姿を見られるのが嫌だったのです。知られないまま練習を終えるつもりでしたが、観覧席に彼女の姿を見つけました。
泳げないと言えませんでした
彼女から海へ行こうと誘われたとき、俺は賛成しました。海なら砂浜で過ごす時間も長く、深い場所へ行かなければ、泳げないことをごまかせると思ったからです。ところが彼女は、海へ行く前にプールで練習しようと言いました。俺は「プールはちょっと苦手なんだ」と断りました。苦手という言い方なら、泳げないとは気づかれない。水に入るのが好きではないだけだと思ってもらえる。そんな都合のいい考えでした。彼女に知られないまま泳げるようになれば、隠していた事実も表に出ないと考えていました。
観覧席にいた彼女
俺は駅裏の市民プールへ通い始めました。初心者向けの教室に参加し、ビート板を使うところから練習しました。彼女には毎回「用事がある」と伝えていました。外側のポケットに入れた利用券を見られるとは考えず、プールで会う可能性もないと決めつけていました。その日、コーチに腕の動きを教わりながら顔を上げると、観覧席に彼女がいました。俺の話を信じられず、後を追ってきたのだと分かりました。勝手について来られたことには納得できない気持ちがありました。ただ、それとは別に、俺が説明を避けて彼女を疑わせた事実も残っていました。彼女に気づいたあとも、俺はプールから上がりませんでした。そこで逃げれば、隠していた事実からも逃げるように感じたからです。ビート板をつかみ直して壁を目指しましたが、途中で足をつきました。練習を続けた理由まで、結局は見栄でした。
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玄関で認めた見栄
























