
実家の棚に弟の写真だけ、母が返した「あんたが、飾らないでって言ったのよ」
コラム
久しぶりに帰った実家の棚には、弟の成人式や卒業式の写真だけが並んでいました。母へ理由を聞いても、返ってきたのは「そういうのは、もういいでしょう」という言葉だけです。
帰り際、弟が口にしたのは、母の部屋に置かれている私の写真についてでした。
弟の写真だけが並ぶ棚
久しぶりに実家へ帰ると、居間の棚には弟の成人式や卒業式の写真が、真新しい額に入れて並んでいました。
端から端まで確かめても、私の成人式や結婚式の写真は1枚もありません。子どもの頃は、玄関に姉弟で撮った写真が飾られていた記憶があります。
お茶を運んできた母に、私は棚を指さして聞きました。「私の写真、1枚もないんだね」。母は湯のみを置きましたが、棚のほうへ顔を向けませんでした。
母は弟の話へ変えました
「そういうのは、もういいでしょう」。母はそれだけ答えると、弟の就職について話し始めました。
私は相づちを打ちながら、結婚式で着物の袖を使って何度も目元を押さえていた母を思い出していました。それなのに、あの日の写真は見える場所にありません。
弟より大事にされていなかったのかもしれない。そう考え始めると、母が弟の近況を話す声も、棚に並んだ額も、私とは関係のないものに見えてきました。
次のページへ
玄関で聞いた15年前の言葉
























