「並ばないなら買うな」と行列で言い放った私が、1年後、同じ列で娘を抱えて立ち尽くした話

コラム

列に戻れずにいた私へ「順番、ここで合ってますよ」と声をかけてくれた女性。その横顔は、私が強い言葉をぶつけた相手でした。

行列の最後尾に着いた途端、抱っこ紐の中で娘が泣き出しました。

正しいのは私のほうだと思っていました

駅前のパン屋には、限定の食パンを求めて長い行列ができます。独身だった頃の私も、その列の常連でした。ある日、スマホから顔を上げると、前にいたはずの子連れの女性が、横から列に戻ってくるところでした。割り込みにしか見えませんでした。私は迷わず言いました。「並ばないなら買うな」。周囲の視線が集まる中、彼女は「すみません」とだけ言って、男の子の手を引いて最後尾へ下がっていきました。列を守った私が正しい。その日はずっと、そう思っていました。

同じ列で、娘が泣き出しました

あれから1年。娘を産んだ私は、あの食パンを家でも食べようと思い、同じ列に並びました。ところが、順番が近づく前に娘が泣き始めたのです。あやしても収まらず、私は列を離れて店の脇へ移りました。娘が落ち着いた頃には、列は進み、自分のいた位置には別の人が並んでいます。戻っていいのか分からず、私は列の横で足を止めたままでした。後ろのほうから向けられる視線が、あの日の自分の目と重なりました。

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