
10年前の川の写真をプロフィールに載せた俺→マッチングした女性だけが知っていたこと
コラム
思い出したのは、隣の席でした
その文章を読んでいるうちに、昔の教室を思い出しました。
窓際の席。
隣には、よく絵を描いている人がいました。
休み時間になるとスケッチブックを開き、川や街並みを描いていました。
俺が持っていた色鉛筆を貸したこともあります。
名前だけでは確信が持てませんでした。
でも、川の写真を見て赤い鉄橋まで思い出す人は、そう多くありません。
俺は、
「もしかして、隣の席でよく絵を描いていた人ですか」
と送りました。
返事を待っている間、何度もスマホを確認しました。
「そうかもしれません。窓側の席でした?」
と返ってきます。
「そうです。俺、隣でした」
そこでようやく分かりました。
10年前、さよならも言えないまま離れた同級生でした。
俺は、
「夏休みに急に引っ越すことになって、誰にもちゃんと話せないまま転校しました」
と書きました。
言い訳をしたかったわけではありません。
ただ、当時の俺には連絡する勇気がなかったことを、そのまま伝えました。
すると彼女から、
「あのとき借りた色鉛筆、返せないままなんです」
と届きました。
思わず、
「まだ持ってるんですか」
と返しました。
自分ではすっかり忘れていた色鉛筆を、彼女は残していました。
そこから、昔の学校のことや川沿いの道のことを話しました。
そして、あの川で会う約束をしました。
そして...
プロフィールに載せている川の写真は、今もそのままです。
約束の日が近づいて、久しぶりにその1枚を開きました。
10年前、誰にもさよならを言えずに離れる前に撮った場所です。
あのころは、もう一度そこへ誰かと戻る約束をするとは思っていませんでした。
今度は、会う相手も時間も決まっています。
彼女が本当に色鉛筆を持ってくるのかは分かりません。
俺は俺で、10年ぶりの「久しぶり」を、今度は自分から言おうと思っています。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)




























