小遣いが足りないとこぼしていた俺が、フレンチの会計で「ここは僕に出させてください」と譲らなかった理由

コラム

口癖の向こうで、妻が削っていたもの

浴室から、宅配の支払いを財布で済ませてほしいと頼んだばかりでした。風呂から上がると、テーブルの真ん中にあの領収書が置いてありました。

「これ、何?」

首にタオルをかけたまま、印字された日付を指でなぞりました。義父の頼みを明かせば済むことでした。けれど記念日まで、まだ1か月あります。

「ごめん、今は言えない」

「足りないって、毎月言ってたよね。私、自分のお昼を削って足してたんだよ」

先月、財布に5,000円札が1枚増えていたことには気づいていました。家計に余裕があるのだと思い込んで、お礼も言わずに使っていたのは俺のほうでした。目を伏せて「ごめん」と返すのがやっとでした。

そして...

次の朝から、少し早く起きてご飯を炊くことにしたのです。握ったおにぎりを2つラップに包んで鞄に入れ、コンビニのコーヒーもやめました。

義父には「記念日が終わったら、娘さんに全部話してもいいですか」と送り、返事はまだありませんでした。炊飯器のタイマーを1時間早くセットして、今日も妻より先に台所に立ちました。

(30代男性・メーカー営業)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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