1円まで請求する私を、友人たちは笑っていた。それでも5年間ノートをつけ続けた理由

コラム

笑っている顔の絵文字が並ぶたび、画面を下へ送っていた時期がありました。それでも端数を打ち込み続けたのには、友人たちに話していない理由があります。

ノートの最後のページに30,000と書き、下に線を引きました。結婚する友人の分を除いて、5年分の端数を足すと29,618円。足りない382円を自分の財布から出したのが、会計を引き受けてから初めて数字を丸めた瞬間でした。

だいたいで済む会計が苦手だった

高校の部活では、会計はいつも「だいたいでいいよ」で済んでいました。最後に足りない分が出ても「あと100円だけ誰か出せる?」と言い出せず、毎回自分の財布から足していたのです。誘いを断る回数が増え、いつの間にかその輪から離れていました。

だから大学で今の4人になったとき、お金だけは1円まで合わせようと決めました。経理の仕事に就いたのは、そのずっとあとのことです。

表紙に積立と書いたノート

友人の1人は、よく多めに送ってきました。おつりはいらない、と添えて。

「153円多いよ。返すね」

黙って受け取るのも違う気がしていたところに、誰か結婚したときのお祝いに使って、と返ってきました。もう1人からも親指を立てたスタンプ。それならと小さなノートを1冊買い、表紙に「積立」と書いて、1人ずつ欄を分けて記録し始めました。私自身も、会計のたびに自分の分を端数まで計算し、切りのいい額との差を同じように自分の欄へ入れていました。

グループチャットに笑っている顔の絵文字が並ぶたび、画面を下へ送って見ないようにしていました。

1円足りなかったときも、同じ理由で個別に連絡しました。ノートの数字がずれると、誰の分がいくらなのか説明できなくなるからです。返ってきたのは、お腹を抱えて笑うキャラクターのスタンプでした。「笑わないでよ」と打っては消し、既読のまま画面を閉じました。

  • X
  • Line