「待つのが女の仕事だろ」と言った彼が、講座が長引いた私を改札の前で50分待っていた

コラム

聞かずにいられなかったこと

「ごめん、連絡できなくて」

「いいよ」

受け取った缶は、もうぬるくなっていました。私が来る前から、ここで待っていてくれたのだと分かりました。

本当なら、ほっとするところなのかもしれません。けれど、口から出かかったのは「ありがとう」ではありませんでした。半年前、40分待った私に返ってきたのは、あの言葉です。それなのに今日は、文句の1つもなく待っている。まるで、あの日などなかったかのように。

「待つのが女の仕事じゃなかったっけ」

彼は足元に目を落としました。少し間があってから、「寒いし、帰ろう」とだけ言って、ホームへの階段に向かいました。

そして...

並んで階段を下りながら、缶のプルタブを開けました。ぬるくて、甘さばかりが舌に残るミルクティー。

半年前に飲み込んだ言葉を、やっと口にできた。それだけは、自分で選んだことでした。

けれど、彼がなぜ黙って待っていたのかは分からないままでした。怒らなかったのは、私が遅れた理由を分かっていたからなのか。それとも、あの言葉を彼も覚えていたからなのか。隣を歩く横顔からは、どちらとも読み取れませんでした。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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