「泊めてあげなよ」と彼女の部屋を出た俺が、40分の帰り道で飲み込んだ本音

コラム

彼女の友人からの返信を見て、俺はテレビを消して上着を取りました。帰り道に通知が鳴っても、部屋に着くまで返信しなかったのには理由があります。

スニーカーのかかとを指で直して、俺は彼女の部屋のドアを閉めました。自分の部屋までは、歩いて40分ほど。笑って出てきたはずなのに、階段を下りる足はなかなか速くなりませんでした。

またか、と思った通知

テーブルのスマホに彼女の友人の名前が出たとき、またか、と思いました。

終電を逃して泊めてほしいと頼まれるのは、この1年で3回目。前回は泊めた次の日、寝不足だからと彼女から連絡が来て、会う約束が一度流れています。

彼女が、「今、彼が来てるんだよね」と送るのを、隣で見ていました。すぐに返ってきたのは、「えー、全然気にしないよ!床でいいから」でした。俺が来ていると知っていて、床で寝るから平気だと言う。正直、非常識だなと思いました。

でも、それをそのまま口にするわけにはいきませんでした。

板挟みにしたくなかった

彼女には昔から、頼まれると断れないところがありました。ここで俺が「断りなよ」と言えば、友人と俺の間で板挟みになる。断ったあとも、友人にどう思われたかを気にして眠れなくなるのが目に見えていました。かといって俺が残れば、そのまま3人で過ごす流れになる。それも嫌でした。だからリモコンでテレビを消して、ソファの背にかけていた上着を取りました。「泊めてあげなよ。俺、歩いて帰れるし」「え、いいの?」「うん。また来るから」笑って言ったつもりでした。

本当は、あの友人のために泊まりの予定を譲るのが、少しも面白くありませんでした。それでも彼女が断れないなら、自分が帰るのが一番簡単だと思ったのです。

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