「泊めてあげなよ」と彼女の部屋を出た俺が、40分の帰り道で飲み込んだ本音

コラム

送れなかった2つの下書き

歩き出して20分ほどたったころ、ポケットの中でスマホが鳴りました。信号待ちで取り出すと、通知に「着いた?」と出ています。今返せば、友人への文句まで続けてしまいそうでした。そのままスマホをポケットへ戻しました。

部屋に着いてから、「着いたよ」とだけ返しました。

しばらくして届いたのが、「ごめんね、せっかく来てくれたのに」というメッセージです。謝るのは彼女じゃない。そう思いながら、「あの子、ちょっと甘えすぎじゃない?」と打って、消しました。

次に、「次は断ってほしい」と打ちました。それも消しました。友人のことをどうするかまで、俺が決める話ではないと思ったからです。返事を決められずにいるうちに、もう1通届きました。

「本当は、帰ってほしくなかった」

玄関に座りこんだまま、その言葉をしばらく見ていました。俺だって帰りたくありませんでした。それなら、上着を取る前にそう言えばよかった。でも、今さら長い文章を返すのも違う気がして、打ちかけていた言葉を全部消しました。

送ったのは、「俺も。」だけでした。

そして...

次に泊まりに行った日、彼女は棚から俺のマグカップを出して、いつもの場所に置きました。ソファの背には、その日も俺の上着をかけました。

あの友人のことは、今も少し苦手です。彼女がまた泊めてほしいと頼まれたら、どう返すのかも知りません。

ただ、同じ名前が画面に出たら、あの夜ほど簡単には上着を取れないと思います。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

  • X
  • Line