
妻に台所を任された3日間。俺が冷蔵庫のメモ帳から破り取った紙に書き続けたこと
コラム
1枚にまとめ直した紙
3日目、ポケットのメモに並んでいたのは、妻が毎日当たり前のように続けてきたことばかりでした。
口で伝えることも考えました。けれど頭の中で言葉を並べると、「つまり」「要するに」と、また理屈っぽい話し方になってしまう。妻の説明をさえぎってきた口で、うまく話せる気がしませんでした。
鍋が煮える間に、新しい1枚へメモをまとめ直しました。最後の行にだけ、別のことを書き足して。
「効率が悪いって言ったこと、取り消させてほしい」
食べ終えた食器を流しに下げ、エプロンのポケットから紙を取り出して、妻の向かいに座りました。
「これ、読んでほしい」
そして...
妻は紙に手を伸ばしかけて、一度膝の上に戻しました。もう一度手に取ってからも、しばらく俺の顔を見ていました。やがて紙を開き、時間をかけて読んでいきます。読み終えると、紙を折り直さずに持ったまま席を立ちました。
そのまま冷蔵庫の前へ行き、マグネットでその紙を扉に留めました。
翌日から、台所にはまた妻が立っています。俺はその横で鍋を洗うようになりました。口を出しそうになることは、まだ時々あります。冷蔵庫の扉には、あの紙が貼られたままです。
(30代男性・システムエンジニア)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)



























