「それ、答えないとだめですか」と敬語で逃げた俺→タメ口の言葉を敬語の1行に打ち直していたわけ

コラム

タメ口で書きはじめると、言いたいことがあふれてしまう。だから俺は、メッセージでは敬語を選んでいました。彼女に「知りたい」と言われるまで、その理由を話すつもりはなかったのです。

「メッセージだと敬語なの、ちょっと距離感じる」。デートの帰りに届いたその一通を、俺は電車のドアにもたれて読んでいました。付き合って1か月の彼女に、そう思わせていたとは考えてもいませんでした。

送れなかった下書き

彼女とはボルダリングジムで知り合いました。会っているときは、自然とタメ口で話せる相手です。

問題は、メッセージでした。

初めてのデートの帰り、タメ口で感想を打ってみたことがあります。「楽しかった」から始めたはずが、「笑った顔が好き」「もう会いたい」「次はいつ空いてる?」と、打つ手が止まりません。気づけば画面の半分以上が、言いたいことで埋まっていました。

読み返して、怖くなりました。学生の頃、長いメッセージを送りすぎて「重い」と言われ、ふられたことがあったからです。彼女とは、同じ終わり方をしたくありませんでした。

俺は下書きをメモに移し、敬語で打ち直しました。

「今日はありがとうございました。楽しかったです」

敬語にすると、不思議と気持ちに歯止めがかかりました。

敬語というブレーキ

それからは、デートのたびに同じことをしました。まずタメ口で全部書き、メモにしまってから、敬語の一行だけを送るのです。

「なんで敬語なの笑」

彼女にそう訊かれたときも、本当のことは言えませんでした。

「なんとなくです」

会えば、いくらでもタメ口で話せます。言いすぎても、顔を見ていれば冗談にできるからです。でも画面の上では、書いた言葉がそのまま残ってしまう。だからこそ、ブレーキが必要でした。

ある週末のデートの帰りも、改札で別れてすぐに送りました。

「今日もありがとうございました。気をつけて帰ってください」

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届いた本音
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