
「うん、そのうちね」手作りケーキを冷蔵庫に入れたままにした俺が、すぐに食べなかったわけ
コラム
目を離さないまま答えた理由
翌朝、キッチンでパンを焼いていると、「お茶もらうね」と声がして、泊まった彼女が冷蔵庫を開けました。
「あのケーキ、食べないの?」
「うん、そのうちね」
トーストにバターを塗る手元から、目を離さないまま答えました。もったいなくて食べられないなんて言えば、子どもっぽく聞こえる気がしたのです。彼女がどんな顔で聞いていたのか、俺は見ていません。
彼女が帰ったあと、冷蔵庫を開けました。奥の箱を見ているうちに、気づいたのです。このままでは、祖母のケーキと同じになる。作ってくれた彼女には、喜んでいることさえ伝わらないと。
そして...
リボンをほどき、薄い1切れだけ切り分けました。皿の上の1切れを写真に撮って、彼女に送りました。
「少しずつ食べることにした」
しばらくして、「食べてくれてありがとう」と返ってきました。お礼を言うべきなのは、本当はこっちのほうです。
冷えた1切れは少しかためで、ちゃんと甘い味がしました。
冷蔵庫の箱には、まだ大半が残っています。次に彼女が来たら、祖母のケーキの話をして、残りは2人で食べるつもりです。今度は、傷むまで眺めたりしません。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)






























