母が昔から気にかけていた同級生と付き合った俺が「うちの母には内緒で」と念を押したわけ

コラム

ベンチで言えなかった続き

数日後、駅前の公園のベンチで、彼女に聞かれました。

「私のこと、お母さんに言えない理由があるの?」

俺はコーヒーの紙カップをベンチに置き、首を横に振りました。

「違う、そういうんじゃなくて。理由はちゃんとある。でも、恥ずかしいやつなんだ」

「結婚の話までしておいて、お母さんには言えないの?」

彼女にそう言われても、顔を見たら全部話してしまいそうで、つま先ばかり見ていました。駅で手を振っても、彼女は振り返しませんでした。彼女を、家族に会わせたくない相手のように扱っていたと気づいたのは、帰りの電車の中です。

そして...

それから数日後、母から電話がありました。

「今日、くるみパンの子が来たのよ。袋はいいですって、高校のときのまんま。この前、店の前を一緒に歩いてたでしょ」

母の声は弾んでいました。「別に」とだけ答えて電話を切り、その夜、彼女に送りました。

「次の休み、あのパン屋の話をさせて」

やがて「わかった」と返ってきました。改札の前と同じ返事です。

次の休みには、きっかけが母の口ぐせだったことまで全部話します。そのあとで、母にも伝えるつもりです。「ああいう子と仲良くしなさいよ」と言われ続けた俺が、とっくにそうしている、と。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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