
入居者へ長い敬語の文面を送った私、玄関先で伝えたかったお礼
ライフスタイル
会う約束を取りつけてからも、最初の一言は決まりませんでした。玄関先で口をついたのは、用意していたお礼より先に、謝罪でした。
入居者に宛てた下書きを、私は挨拶の文だけ残して繰り返し書き直していました。
短い返信で保っていた距離
アパートを1人で管理するようになって20年になります。入居者との連絡は、入居のときに交換するメッセージアプリだけに限り、返信は「承知しました。」だけと決めていました。親しくなりすぎて、お願いを断れなくなった失敗が昔あったからです。ゴミ置き場が荒れたとき、私は特に確かめもせずに、全員宛てに「ゴミ置き場のルールをお守りください。」と送りました。その後、母屋の窓から見たのは、カラスに荒らされた袋を替えて積み直している、その人の姿でした。
敬語の向こうに隠した本題
お礼をしなければと思ってから、下書きは長くなっていきました。「近いうちに、少しお時間をいただけないでしょうか。」丁寧にしていたのは誠意ではなく、今さら距離を詰めて図々しいと思われるのが怖い、という逃げでした。「わかりました。いつでも大丈夫です。」という返信を受けてもなお、私は詫びの文面を重ねて、本題を先送りにしました。消しては足す敬語の分だけ、送信は遅れていきました。相手を不安にさせているだろうことは、わかっていました。
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お礼より先に出た謝罪


























