
娘の新居の地図ばかり見ていた私が、あの電話で話しそびれたこと
ライフスタイル
電話口で言いかけたこと
息子が段ボールを開けている横で、娘から電話がかかってきました。
「私のこと、どうでもいいと思ってる?」
真っ先に浮かんだのは、自分の母の顔でした。この子にも、私と同じ思いをさせていたのかもしれない。
「そんなわけないでしょ。お母さんね、」
母に言われ続けたことから話そうとした、そのときでした。
「母さん、カーテンのフックってどこ?」
息子の声に振り向いて、口が先に動いていました。
「ごめん、またかけるね」
かけ直すつもりでした。けれど何から話せばいいのか決められないまま、その日は過ぎていきました。電話で母の話をすれば、言い訳に聞こえる気がしたのです。
3日後にようやく送れたのは、「元気にしてる?」だけ。返ってきたのは「元気だよ」。いつもどおりの、手のかからない娘の返事でした。
そして...
引っ越しからひと月が過ぎました。息子からは相変わらず忘れ物の相談が届き、娘からは何も届いていませんでした。地図アプリで娘の部屋のあたりを開いては、送る言葉も浮かばずに閉じる日が続きました。
信頼のつもりで言い続けた言葉は、娘には別の意味で届いていたのでしょう。母と違うことをしてきたつもりで、娘の話を聞く機会まで減らしていたのかもしれません。
「今度帰ってきたら、おばあちゃんの話を聞いてほしい」
そう打ち込んで、送信しました。返事は、まだありません。
(50代女性・パート)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)





























