
「お受験するから遊ぶ子は選ばないと」と言っていた私→運動会で息子に手を差し伸べてくれたのは、避けていた子だった
コラム
転んだ息子に駆け寄れなかった私
秋の運動会の年長のかけっこ。息子は走るのが得意ではありません。スタートの合図で走り出した息子は、途中で足がもつれて転びました。膝を押さえてうずくまる姿に、思わず立ち上がりかけました。でも「お受験の子の親が取り乱すわけにいかない」と、自分を止めたのです。他の子が息子の横を走り抜けていく。その中で一人だけ立ち止まった子がいました。Yくんでした。息子のそばにしゃがんで、「大丈夫? 立てる?」と手を差し出していました。息子は泣きそうな顔でYくんの手を握って立ち上がり、二人は手をつないでゴールしました。
そして...
会場が拍手に包まれたとき、目の奥が熱くなって、こらえることができませんでした。転んだ息子に一番に駆け寄ったのは、私が「遊ばせたくない」と避けていた子だったのです。しかも私自身は、「取り乱すわけにいかない」と何もしなかった。
ゴールの後、息子が泣きながらYくんに抱きついてました。ふとYくんのお母さんと目が合いました。何か言わなければと思ったのに、言葉が出ませんでした。その横で息子が私を見上げて言ったのです。
「ママ、Yくんがね、助けてくれたの。Yくん、ずっと優しいんだよ」。「ずっと」という言葉が胸に突き刺さりました。友達を選び、遊ぶ時間を奪い、塾を詰め込んで。私が「この子のため」と思ってやってきたことは、息子から一番大切な友達を遠ざけていただけでした。
帰り道、Yくんのお母さんにLINEを送りました。「今日、Yくんが息子に手を差し伸べてくれた姿を見て、涙が止まりませんでした。私は大事なことを見落としていたのかもしれません。もしよかったら、また子どもたちを一緒に遊ばせてもらえませんか」。あれだけ距離を置いておいて虫のいいお願いだとわかっています。返ってきたのは「もちろん。息子も喜びます」。そのたった一行に、救われました。
(30代女性・専業主婦)
本記事は、読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)

























