
「俺が教えてあげる」と気取って連れて行った店で、彼女は常連客だった
コラム
彼女にいいところを見せたい。格上の世界を見せてやりたい。そんな思いで予約した高級レストラン。けれど扉を開けた先で待っていたのは、自分の浅はかさを突きつけられる現実でした。
リードしてるつもりだった
正直に言えば、彼女のことをどこか"わかっていない子"だと思っていました。服装もシンプルだし、ブランドの話にもあまり乗ってこない。だから高級レストランに連れて行けば目を丸くして喜ぶだろう。「メニューも読めないかもしれないけど、俺が選んであげるから大丈夫」「フォークは外側からね」彼女がなにか言いかけるたびに「いいからいいから、任せて」と遮っていたのは、自分が持っている主導権を手放したくなかったからでした。
ウェイターの一言で世界がひっくり返った
店に入って「ほら、すごいでしょ?こういう雰囲気、初めてだよね」と胸を張った直後のことでした。ウェイターが足早にこちらへ来て、俺ではなく彼女に向かって深々と頭を下げたのです。「いつもありがとうございます。本日もいつものお席をご用意いたしましょうか?」常連? この店の? しかも"いつものお席"は、夜景が一面に広がる席でした。俺が「特別な夜を見せてやる」と意気込んでいたその場所を、彼女はとっくに自分の居場所にしていたのです。
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見下していたのは自分だった

























