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あの日「まだバイトしてるの?」と笑った私が、彼女の店のカウンターで気づいたこと

コラム

あの子の店のドアを開けた日

あてもなく街を歩いていたとき、路地裏の小さなカフェが目に入りました。カウンターだけの落ち着いた店。ドアを開けると、店内に「いらっしゃいませ」というゆったりとした声が聞こえました。

メニューを受け取りかけて顔を上げた瞬間、思わず目を見開きました。

「え、もしかして」

彼女は少しだけ微笑んで、「久しぶりだね」とだけ返しました。その声に嫌味も皮肉もなく、私は何も言えないまま、カウンターに座りました。

そして...

コーヒーを飲みながら、店の中をそっと見渡しました。カウンターの木目、手書きのメニュー、棚に丁寧に並んだカップ。全部、彼女がひとつずつ選んで作り上げた場所なのだと思いました。

帰り際、「ここ、あなたのお店なの?」と聞くのが精一杯でした。「うん」と答えた彼女の顔は、あの成人式の夜とは別人のように落ち着いていました。「ごちそうさま」としか言えなかった自分が情けなくて、店を出たあと路地で足が止まりました。

10年前、バイトを続けていた彼女のほうが、ずっと先を見ていたのだと、今なら分かります。

(30代女性・求職中)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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