
自分が一番嫌いだった義母の言葉を、娘の彼を前にした私はなぜ口にしてしまったのか
コラム
「わからなくていい」しか言えなかった理由
翌月も、その翌月も、娘が彼の名前を口にするたびに、私は会話を打ち切りました。「お前にはわからなくていい」。突き放したかったのではありません。私自身、なぜあの言葉が口から出てきたのか、なぜ言ってしまった今も同じ態度を取り続けているのか、説明できなかっただけです。
ある夜、娘が叫びました。「お父さんの気持ちなんてわからない」。あの瞬間、自分の30年が一気に押し寄せてきました。乗り越えたつもりだった義母の言葉が、実は私の中で30年間ずっと生きていた。
視線を落としたのは、娘に答えるためではなく、自分の中に居座り続けていた義母の声と向き合うためでした。何か言いかけて、結局何も口にできませんでした。
そして...
私は娘の彼を反対したかったのではないのです。本当に怖かったのは、自分が30年前にあれほど憎んだ義母と、まったく同じ顔をして同じ言葉を口にする人間になっていたことでした。
それを認めるのが怖くて、「お前のためだ」と言い続けるしかありませんでした。
いつかこの30年の話を娘にできる日が来るのか、私にはまだわかりません。あの子の「お父さんの気持ちなんてわからない」という言葉を、どこかで認めてしまっている自分もいるのです。私自身、自分の気持ちが本当のところはわかっていないのですから。
(50代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























