
通知画面に光った「大好き」を、俺は開かずにポケットの中に押し込んだ
コラム
彼女から届いた「大好き」のメッセージ。通知で目にしたのに、俺はそれを開きませんでした。充電が切れていたのは嘘ではありません。でも、それがすべてでもなかったのです。
ポケットの中で光った画面
金曜の夜、彼女と電話を終えたあと、同僚との飲み会に向かいました。「おやすみ。今日楽しかったね」と言って通話を切り、駅へ歩いている途中にポケットの中でスマホが震えました。ロック画面を見ると「大好き」の文字。不意打ちでした。口元が勝手にゆるんで、慌てて引き締めました。
あとで返そう。
そう思って画面を消し、スマホをポケットに押し込みました。居酒屋に入り、ビールを何杯か空け、仕事の愚痴で盛り上がっているうちに、スマホのことはすっかり頭から抜け落ちていました。
帰り道のざわつき
終電間際、同じ方面の女性の同僚と駅まで歩きました。他愛もない仕事の話をしていたとき、ふと彼女がこう言ったのです。「彼女さん、大事にしたほうがいいよ。ああいう子、なかなかいないから」。悪気のない一言だったと思います。でも、そのとき妙に胸がざわつきました。隣を歩く同僚の横顔に、ちらっと目がいった自分に気づいて、慌てて視線をそらしました。帰宅してポケットから出したスマホの画面は、もう真っ暗でした。充電器はすぐそこにあったのに、つなぐ気になれませんでした。そのままベッドに倒れ込んで目を閉じました。
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通知の山
























