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公立を選んでくれた長女に何も買ってあげられなかった日々。20年続けた密かな約束

コラム

「弟ばかりにお金をかけて」と長女に責められた日、私は何も言い返せませんでした。それでも娘に伝えたい思いを、20年かけて2冊の通帳に込めてきた話です。

私には3歳離れた姉弟の子どもがいます。長女が公立大学に進んでくれたとき、本当は同じだけのお金を残してあげたかった気持ちを、ずっと言葉にできずにいました。長女の結婚を控えたある日、その秘密が思いがけない形で見つかってしまったのです。

公立を選んでくれた娘の背中

長女が高校3年生のとき、我が家の家計はぎりぎりでした。下の弟もすでに私立志望をはっきり口にしていて、夫と何度も話し合いを重ねた結果、長女には頭を下げてお願いするしかなかったのです。「家計のことを考えて、できれば国公立にしてほしいの」。あの日の自分の声を、今でも覚えています。

長女は少し黙ったあと、「わかった」とだけ言いました。それから受験までの半年、夜中まで机に向かう娘の後ろ姿を、私は廊下からそっと見つめていました。合格した日、本人より私のほうが泣いてしまったように思います。入学祝いには新しい服も腕時計も買ってあげられず、商店街で選んだ万年筆を一本だけ渡しました。

「弟にばかりお金をかけて」と泣いた娘

弟は大学3年生のとき、留学に行きたいと言い出しました。親として反対する理由が見つからず、私たちは長年の貯金を取り崩して送り出すことを決めたのです。長女には事前に詳しく伝えていませんでした。事後に話せば波風が立たないと思ったのは、私の判断ミスです。

ある日の夕食の席で、長女は震える声で言いました。「弟にばかりお金をかけて、私には何もしてくれなかったよね」と。私は箸を置いたまま、何も言い返せませんでした。「あなたの分も、見えないところで貯めているから」と説明したら、娘の怒りはもっと深くなる気がして、結局その夜も口を閉ざしてしまったのです。

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